イングランド&ポルトガル・サッカーコーチブログ

イングランドとポルトガルのプロサッカークラブでのコーチ経験や、大学で学んだ内容を発信していこうと思います。

今シーズンが終わりました。

 

こんにちは。

 

先日、僕が働いているボアヴィスタBの2017-18シーズンが終わりました。

ボアヴィスタのトップチームが所属する1部リーグから3つ下のポルトガル4部リーグで、3位という結果に終わりました。

 

まず、やっと、やっと、やっと、終わった。

という感想です笑

長かった、本当に笑

 

12月23日に試合があり、26日から練習が再開、30日にも試合。1月1日に分析レポートを書いて、2日から練習も始まるような生活でした。クリスマスも正月もなかったです笑

(そして、そこに入り込む山のような大学院の授業と試験とレポート…。)

 

反省することは数えきれないほどあります。

大きく分けて、二つ。

まずは、優勝できなかったこと。

そして、1部リーグで十分活躍できるような人材をトップチームに送り込めなかったこと。

 

 

ただ、色々なことを学びました。ここではとても書ききれないぐらい本当にたくさんのことを学びました。人としても、サッカー人としても。特に、監督からは本当に本当に、たくさん、たくさん。自分をチームに受け入れてくれ、可愛がってくれ、何から何まで学ばせてくれた監督には、感謝してもしきれません。彼に出会えたというただこの一点のみでも、ポルトガルに来て良かったと心の底から思える、そんな人です。

 

 

そんなわけで、学んで学んで学んで、その結果、1年前よりも遥かにサッカーというスポーツが分からなくなりました。何なんですかねサッカーって、結局。自分はサッカーについて何にも知らない、何もできないということを本当に痛感させられたシーズンでした。

 

最終節が終わり、「あぁぁぁぁぁーーー、サッカーまじ分かんねぇぇぇーーー!!!」と叫びながら帰ったその日の夜にふと、(ポルトガルとスペイン、ボアヴィスタバルサという国とチームレベルの差はあれど、)そういえばグアルディオラも同じ4部に所属するBチームの監督をやっていたなぁと思い出し、グアルディオラが監督をやっていた時のバルセロナB(スペイン4部リーグ)の最終戦を観てみました。

 

……そして、その試合を観て、私は閃きました。自分たちに何が足りなかったか。

 

とカッコイイこと言いたいところなのですが、残念ながら何も閃きませんでした笑 閃かないどころか、その試合のせいでさらに、サッカーまじ分からんよ病が悪化しました笑 一体何が優勝チームとの僅かな勝ち点差2に繋がったのか。この「2」という差はどうすれば埋められたのか。まったく分かりません。

 

何もともあれ、最後にチームでフットサル大会とお疲れ様パーティーをやるので、それはそれで楽しみまくって今シーズンを締めくくりたいと思います。コーチ+フィジカルコーチ+GKコーチ+フィジオセラピスト+私で1チーム作って選手たちと戦うので、選手たちのレベルの高さが肌感覚で分かる良い機会ですし、どうせやるなら一泡吹かせてやりたいです笑

 

 

最後に一つ。

私事ではありますが(結婚ではありませんよ!)、6月の頭から7月の頭(もしかしたら中旬?)まで帰国します。

有難いことに既にたくさんのお仕事の依頼をいただいておりますが、この機会に何かお仕事の依頼や、こういうイベントをやって欲しい!というものがあれば、ぜひツイッターでもブログでもご連絡ください。

 

既に決まっているお仕事・イベントにつきましては、随時このブログでもお知らせさせていただきます。

 

それでは。

 

こんな時になんですが。

こんにちは。

もはや最近はフットボリスタの宣伝と化している本ブログですが笑、またまた宣伝です。

 

3月末に例のモウリーニョ講座が始まり、マンチェスターユナイテッドモウリーニョ監督の授業を受けるために行ったのにクラスメイトのマンチェスターシティーU12のスペイン人コーチにポジショナルプレー叩き込まれるという、何とも皮肉というか幸運な出会いもあり、面白いこともたくさんあったのですが、それはまた次の機会に。

 

さて。

4月12日発売の月刊フットボリスタ第56号『ポーランド、コロンビア、セネガル。「日本の敵」の正体』に、記事が掲載されます。8ページの大作です。

月刊フットボリスタ第56号 | footballista

 

 

今回はインタビュー形式ではなく、自分で書いた記事となっております。

「W杯対戦シュミレーション」と題して、日本のグループHでの対戦相手のここ数年の試合を観て分析、ハリルホジッチ監督のサッカーをぶつけた時にどうなるか、そしてどうすればよりハリルホジッチのサッカーがハマりやすくなるかというのを自分なりのアイディアも織り込みながら(コロンビアに「デュエル戦法」はハマりやすい、セネガル相手にはアンカーを置くべき、ポーランド戦は3バックにして香川を偽9番で使えばハリルサッカーが炸裂しやすい、など)、3か国の分析と対策をなるべく分かりやすく書きました(というか、分かりにくくて異常に長い私の分析レポートを編集部の皆様が本当に見事にまとめてくださいました)。

 

 

……そして、ハリルホジッチの解任。

 

悔しかった。ただただ、悔しかった。

やるせない。

 

今回の分析で、1か月かけて(学校の勉強を犠牲にしつつ)コロンビア、セネガルポーランドのここ数年の試合(W杯予選、ユーロ、コパアメリカ、アフリカ杯、親善試合)を暇さえあれば朝から晩まで観まくりました。各国の国内リーグまで観ました。

 

そして、このグループはハリルのサッカーはハマりやすいと思っていました(もちろんそれでも厳しい相手であることは変わりませんが)。特にコロンビアには面白いようにハマったかと。

読んでいただければ分かるのですが、コロンビアは、ミドルプレスとハイプレスを使い分けてゾーンを維持しながら人に積極的にアタックしていくハリルの「デュエル戦法」がハマりやすかったと思うし、セネガルはこのグループで最も厄介なものの、ハリルさんのサッカーをベースにブロックを作れば勝負できたかもしれない。ポーランドはハリルの戦術でやるなら3バックの方が圧倒的に上手くいくはずで、おそらくハリルは本番で驚かせるために最後までこの3バック(もしくは5バック)を隠していたと予想していました(今となってはもう確認する手立てはありませんが)。本番まで手の内を隠すのが得意なハリルは、ブラジルW杯のアルジェリアでそれをやっていたからです。

 

このクセモノ揃い、だが絶対的に敵わないような差があるわけではない相手に対して、ハリルがどう分析し対策を立て、本番を迎えるか、非常に楽しみでした。かなり良い勝負を見せてくれるのではと期待していました。

……ただただ、世界を相手にしたハリルの本当のサッカーを、見たかったです。

 

もちろん、ハリルで結果が残ったとは限りません。でも、きっと今後の日本サッカーに残るものがあったのでは、と。それが、成功体験にしろ、失敗体験にしろ。上手くいかなかったらそれはそれで、ちゃんと振り返ってその理由を分析して生かせば、それで良かった。残念ながら、もうハリルのやり方が成功か失敗も分からず、評価もできない。

つまり、この3年から何も得られなかった、いや、得られたはずのものを捨ててしまった。

 

たとえW杯で結果が出たとしても、後にも先にも結果以外は何も残らないという形になってしまった。仮にグループリーグを突破したとしても、それは積み重ねによるものではなく単なる「行き当たりばったり」の結果です。

ハリルが考え作り上げてきた「日本のサッカー」が日本に合うかどうかも、世界相手にした時に通用するのかも、ハリルが何を積み上げてきて何を隠してきたかも、結局何も分からずじまい。

結果以外に何も残らない、何も残せないW杯を迎え、この3年と、そしてこれからの4年をも捨て去ってしまったと、そう思っています。

 

 

とにかく、対世界レベルでの本当のハリルさんの日本サッカーを見ずに終わってしまったのが、ひたすらに残念で、残念で、残念です。

 

 

 

西野さんがハリルさんのサッカーを引き継いでも、ハリルさん以上にハリルさんのサッカーができるわけはないので、思い切って西野さんの好きなようにやり切って欲しいです。その方が、結果がどうなっても後に生かせることがあるかもしれません。

しかし、何度でも言いますが、ハリルさんのサッカー見たかったです。

 

 

……と、私がどんなにここで愚痴を垂れても仕方がないので、宣伝に戻ります笑

 

今回のフットボリスタでとても興味深いのは、ピッチ内の分析だけでなく、各国のピッチ外の文化や歴史などにも手を伸ばしている内容だということです。読み応えあります。

 

また、イタリアの(超)戦術サッカーメディア「ウルティモ・ウオモ」による各国の分析も載っているので、私の分析と比べても面白いと思います。

私が注目していなかった点を分析していたり、また、同じポイントでもまったく違った解釈をしていたりして、私自身とてもとても勉強になりました。

 

長くなりましたが、ぜひご一読ください。

12日、発売です!!

 

www.footballista.jp

【お知らせ・その2】

【お知らせ・その2】

 

こんにちは。

先月のフットボリスタを読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。多くの反響があり、感想ツイートやDMもたくさんいただけ、とても嬉しかったです!

 

…というわけで、前回のインタビューがなかなか好評だったらしい(?)こともあり、なんとフットボリスタ様に今月号もインタビューを掲載していただきました。二か月連続、しかも今度は私のインタビューが巻頭総論になってしまいました苦笑

 

今月号のフットボリスタは、前号の特集「戦術パラダイムシフト」によって、選手個人個人は戦術的にどう変わっているのか?という、より「個」の戦術にファーカスした内容になっております。

 

その中の私のインタビューですが、個人戦術とは何か?そもそもサッカーにおける個とは何か?サッカーインテリジェンスとは何か?というトピックなのに、なぜかダーウィンの進化論とグーグル翻訳と美味しいカレーの作り方の話をするという、ザ・個人的見解にまみれたカオスな内容となっております。そして、それがまさかの今月号の巻頭総論になってしまうという、フットボリスタさんの器の大きさ…。まぁ、個人的見解だらけと言っても、先月号のシャビの巻頭インタビューに比べるとだいぶ柔らかいですが笑

 

先月号を合わせて、永久保存版の学術書・哲学書のようになっているフットボリスタ今月号です、ぜひご購入ください!

 

www.footballista.jp

【お知らせ】

【お知らせ】

 

 

ブログをまったく更新できておらず、申し訳ありません。

ツイッターはたまに呟いていますので、ぜひフォローしてくださいね。

https://twitter.com/Hayashi_BFC

 

 

そして、本題ですが、本日発売のフットボリスタ3月号に私のインタビュー記事が掲載されました!

月刊フットボリスタ第54号 | footballista

 

 

日本にいた頃に愛読していたフットボリスタに自分が載るということで、とても光栄に思います。

 

初登場にもかかわらず、ここまで大きく扱ってくださった編集部の皆様、そして私の長々とした支離滅裂な受け答えをあそこまで綺麗に記事としてまとめてくださったインタビューアーの結城康平様に、多大な感謝です。

 

 

今回のフットボリスタ、ものすごくフットボリスタです笑

これぞ、「ザ・フットボリスタ」という感じで、全身の血が騒ぎだすような魅力的な記事で溢れかえっています。

フットボリスタが好きな方には、夜抱きしめながら寝たくなるほどたまらないと思います。

 

(そんな今月号の中で唯一、私の記事は比較的「人間らしい」内容です笑。)

 

 

フットボリスタあんまり読んだことない…という方でも、現代サッカーの戦術に興味がある方や、「ポジショナルプレー」など何となく聞いたことはあるけど実はちゃんと理解してないや…という方には、まさにドンピシャだと思います。

 

私のインタビュー記事では、私のルーツ・経歴の話に始まり、ポルトガルイングランドのリアルなサッカー事情、大学の話、コーチングの話、「日本サッカーの日本語化」の話、プレーモデルVSゲームモデル問題、そして戦術的ピリオダイゼーションの話……などなど、多岐にわたって大いに語っております。

 

 

是非、ご購入ください!

https://www.footballista.jp/magazine/42074

 

 

 

 

【ジョゼ・モウリーニョの授業を受けることになりました。】

モウリーニョの授業を受けることになりました。】

 

 

このたび、リスボン大学とポルトガルサッカー協会が主催し、ジョゼ・モウリーニョが責任者を務める監督養成講座に合格しました。今までの学歴や経験を評価され、物凄い申し込み数の中から運よく15名に選ばれました。また、世界各国から優秀な生徒を集めたいというモウリーニョの意向もあり、日本人というのもプラスに働いたようです(今まで日本人の生徒はゼロ、東アジア人も昨年の上海大学の教授のみなので)。ちなみに、通常は定員は20名なのですが、今年はサウジアラビアが5人分を買い取ってしまったらしいです…苦笑

 

 

講義ですが、半年ほどの期間中に主にリスボンで合宿のような形で行われます。

講義をしてくれるのは、

 

 

など・・・

 

もう何も言えなくなるぐらい凄まじい面々です。

講義の内容は、指導法、試合分析、スカウティング、ピリオダイゼーションなど、多岐にわたります。

彼らの授業を間近で聴き、ランチを一緒に食べ、質問もし放題。信じられないような環境です。また、バルセロナのフィジカルコーチの授業はバルセロナのトレーニング施設ラ・マシアで行われ、その際カンプノウでのスポーツテクノロジーのカンファレンスにも参加するそうです。

 

 

こんな経験、一生に一度あるかないかです。世界最高の監督、ジョゼ・モウリーニョから直々に教えを受けられる日が来るなど思ってもいませんでした。コースが始まるのは3月、モウリーニョの授業は5月ですが、今からもう待ちきれません。

モウリーニョ以下サッカー界のトップ中のトップの方達の授業を受け、一緒にランチを食べ、他の若いエリート指導者の生徒たちと衣食を共にし、学び放題・質問し放題と、これ以上ない機会です。

生徒の誰よりも学び、また誰よりも強く自分をアピールしてこようと思います。

 

 

コースのサイト、紹介動画、インスタグラムはこちらです。

 

http://football.fmh.ulisboa.pt/lecturers/

 

https://www.youtube.com/watch?v=HzFBmLZH7Bo

 

https://www.instagram.com/highperformancefootball/

 

 

スポーツは科学である

 

スポーツは科学である

 

 

26日までのウィンターブレーク期間中に何とかスポーツのピリオダイゼーションについて投稿しようと書き始めたのですが、一つとても大切な大前提を投稿するのを忘れていました。

 

 

それは、

 

「スポーツは科学である」

 

ということです。

 

当たり前だよそんなの、という方も、どういうこと?という方もいるかもしれません。

 

 

スポーツは科学なのです。

 

例えば、サッカーの試合のウォーミングアップのメニューが以下だったとします。

ジョギング:5分

ストレッチ:5分

アジリティ系エクササイズ:5分

パスゲーム:10分

 

なんでもないメニューに見えますが、もしこのメニューを作ったら、イギリスの大学でもポルトガルの今のチームでも、必ずその根拠を聞かれます。

なぜジョギングの時間は5分なのか?

なぜストレッチがジョギングの後なのか?前ではないのか?そもそもウォーミングアップにストレッチは必要なのか?

なぜアジリティー系のエクササイズをするのか?

パスゲームをした時としなかった時で、身体にどのような違いが現れるのか?

なぜウォーミングアップの時間が計25分なのか?15分や30分ではダメなのか?

 

すべて、その科学的根拠を聞かれます。自分のウォーミングアップのメニューを想像してみてください。その内容、時間、順番、すべての「科学的根拠」を明確に答えられますか?

 

自分は、自分のメニューの科学的根拠を、ちゃんと答えられます。なぜ最初にジョギングをさせるのか。なぜストレッチをさせないのか。なぜ20分きっかりで終わらせるのか。なぜ全てのウォーミングアップメニューにボールを使うか。

 

もしそのウォーミングアップのメニューの根拠が答えられないのなら、それは勉強不足です。ストレッチをした組としなかった組の試合のパフォーマンスを比べる、ウォーミングアップ時間が10分の組と30分の組のパフォーマンスを比べる、ジョギングを最初にした組としなかった組を比べる。

それらを検証した科学論文が、スポーツ科学の分野には山ほどあるのです。

 

 

これは、トップレベルのアスリートたちも同じです。

なぜロナウドはFKの時に毎回同じルーティーンをするのか。なぜ100mの選手たちはスタート前にピョンピョン跳ねてるのか。なぜトッテナムの選手たちがCKの前に同じことをしているのか。なぜウサイン・ボルトはレース後の有名なポーズをレース直前にも取っているのか。なぜナダルは試合中にバナナを食べているのか、なぜ他の食べ物ではダメなのか・・・。

 

その全てに、明確な、スポーツ科学的な根拠があります。

 

だからこそ、

「スポーツは科学である」

なのです。

 

 

そして、スポーツが科学である以上、絶対に忘れてはいけないことがあります。

それは、

「科学は日々進化する」

ということなのです。

 

昨日の常識が明日の非常識、そんなことが科学の世界には溢れています。

 

以下は卒業時に大学の先生が伝えてくれたことです。

 

「君たちはスポーツ科学の最先端を大学で学んだ。しかし、その『最先端』は10年も経てば、『時代遅れ』になっている。これが今のイギリスのスポーツ界の問題だ。卒業してからトップチームのコーチやコンディショニングコーチやフィジオになる頃にはみんな50歳前後になっている。しかし、その頃には大学で学んだものは30年前のスポーツ科学であり、30年前のコンディショニングなんだ。

 

だからこそ、君たちはこれからも学び続けなければならない。君たちの学んだ『スポーツ科学』が廃れないように、学び続けなさい。そして、今年卒業する君たちが今のイギリスのスポーツ界を引っ張っていかなければならない。なぜなら、今この瞬間、本当に最先端のスポーツ科学を知っているのは君たちだ。だから、君たちがイギリスのスポーツ界を引っ張っていかなければならない。」

 

スポーツ界で働く者たちは、この言葉を胸に刻まなければいけないと思います。自分の知識や経験は本当に廃れていないか?自分は学び続けているか?最先端だと思っているものや常識だと思っているものは本当に最先端の常識なのか?

自分も、常に自問自答して、教授の言葉を思い出して、これからも学び続けていかなければいけないと思います。

 

 

長く語ってしまいましたが、この「スポーツは科学である」を大前提にした上で、今後のこのブログを読んでいただければ幸いです。

 

結局、戦術的ピリオダイゼーションとは何なのか?

結局、戦術的ピリオダイゼーションとは何なのか?

 

 

初めからはっきりと言ってしまいますと、日本で戦術的ピリオダイゼーションについてネットで調べると、そもそものスポーツにおけるフィジカルトレーニングの基本であるピリオダイゼーションを知らずに説明しているものが多すぎます。まずピリオダイゼーションを理解しなければ、戦術的ピリオダイゼーションも理解できません。また、このピリオダイゼーション、サッカーのピリオダイゼーション(レイモンド氏などが提唱)、そして戦術的ピリオダイゼーションをごちゃごちゃにしてしまっている説明が多すぎます。まずはこの3つは全くの別物として考えてください。たまに、「レイモンド氏の提唱するサッカーのピリオダイゼーション、通称PTPは・・・)」などという説明を見かけますが、これはまったくの間違いです。

 

なので、このブログではまずはこのごちゃごちゃになってしまっている概念を分別・整理したいと思います。

・ピリオダイゼーション

・サッカーのピリオダイゼーション

・戦術的ピリオダイゼーション(これを村松氏が独自にPTP(Periodisation Tactic Philosophy)と略称を命名し、それが広まっているようです。しかし、後に詳しく書きますが私はこの呼称には賛同しかねます。)

 

 

ここからは、この三項目についての紹介を簡単にしていきます。

 

ピリオダイゼーション

まず、サッカーのピリオダイゼーションや戦術的ピリオダイゼーションを理解するには、いかなるスポーツにおいてもフィジカルトレーニングの基礎の基礎、常識中の常識である、ピリオダイゼーションそのものを理解しなければなりません。日本語でググると、この基本中の基本であるピリオダイゼーションを理解せずにサッカーのピリオダイゼーションや戦術的ピリオダイゼーションを語っている人が多すぎるように感じます。このピリオダイゼーションは現代スポーツのフィジカルトレーニングにおけるとても大事な大事な基本であり、自分がイギリスの大学で何を一番学んだかと言われれば、このピリオダイゼーションです。本当に3年間みっちり、これをしつこいほどに叩き込まれました。それぐらい大事な現代のスポーツのフィジカルトレーニングにおける基本となる概念なのです。

 

サッカーのピリオダイゼーション

上記のピリオダイゼーションを理解したうえで、さらにそのピリオダイゼーションをサッカーというスポーツに適応させたものを、サッカーのピリオダイゼーションと呼びます。「サッカー ピリオダイゼーション」などで検索すると日本ではレイモンド氏の名がよく出てきますが、彼の理論が全て正しいわけではなく、国やチーム、人によって色々なアプローチがあります。僕がイギリスの大学でサッカーのピリオダイゼーションを教わった教授は、一人はスペイン人でバレンシアFCなどでフィジカルコーチをしていた人、もう一人はイギリス人で元マンチェスターシティーやウエストハムのフィジカルコーチだった人なのですが、それぞれレイモンド氏とはまた違うアプローチや方法論を持っていました。「サッカーのピリオダイゼーション」という大きなくくりの中で、サッカーというスポーツをどう捉えるか、サッカーのコンディショニングの目的は何なのか、各チーム各選手がトレーニングにおいて何に重きを置くか、それによって違ってくるのだと思います。

 

戦術的ピリオダイゼーション

まず最初にはっきりさせておきたいのですが、戦術的ピリオダイゼーションは正義ではありません。トレーニング理論の絶対的正解でもありません。時折、まるで戦術的ピリオダイゼーションこそが最先端かつ正しい考えだというような記事を見かけますが、そもそも、絶対的に正しいトレーニング方法などありませんし、積極的に戦術的ピリオダイゼーションを取り入れているFCポルトのコーチでさえ、あくまでもトレーニングへの一つの考え方に過ぎないという言い方をしていました。(ただし、提唱者であるビトール・フラデは戦術的ピリオダイゼーションが絶対的に正しいトレーニング理論だと思っています笑、本人がそう言っていました笑)。

日本では戦術的ピリオダイゼーションについては様々な摩訶不思議な記述が飛び交っていますが、もし僕がなるべくシンプルかつ分かりやすく定義するならば、「上記のサッカーのピリオダイゼーションにさらに各選手や各チームのプレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素を組み込んだトレーニングメソッド」とします。よく、「戦術に特化したピリオダイゼーション」などと書かれているものがありますが、はっきり言わせてもらえばこれは間違いです。そして、PTPと呼ばれていることがありますが、これも間違いだと思います。このPTPという名称は村松氏が自身のブログで独自にPTP (Periodisation Tactic Philosophy)と呼び始めたのが始まりであり(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/naoto/article/285)、発祥のポルトガルでもどこでも、日本以外でPTPという名称は通じません。なぜなら、戦術的ピリオダイゼーションは “Periodização Tática” であり、Filosofia(哲学)という言葉は全く出てこないからです。そして、仮に「哲学」という言葉を加えたとしても、英語ならば ‘Tactical Periodisation Philosophy’ (TPP)、 ポルトガルなら ’Filosofia da Periodização Tática’ (FPT) となるはずですので、PTPという略にはなりません。

また、先程の定義で「トレーニングメソッド」としたのは、自分は戦術的ピリオダイゼーションは哲学というよりもむしろメソッド、サッカーへの考え方・観方のようなものに近いと思っているからです。周りの大学の同級生(FCポルトやブラガのコーチ)やチームの監督と話をしても、哲学などという大それたものというより、むしろ「トレーニングへの考え方の一つだよね」という印象を受けます。ですので、「トレーニングメソッド」としてみました。

 

 

ここまで

・ピリオダイゼーション

・サッカーのピリオダイゼーション

・戦術的ピリオダイゼーション

と分けて簡単に紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。

 

今後、ブログでこの3つを一つずつ詳しく、シンプルに理解しやすいように書いていきたいと思います。なるべく分かりやすく簡潔にまとめられるよう努めますが、できるか多少不安です笑。そもそもブログ一本でまとめられるようなものならイギリスの大学で3年間もみっちり刷り込まれる必要も、ポルト大学に来る必要も、ビトール・フラデ教授に個人的にアポを取って何度も話し合ったり質問しまくったりする必要もないわけです笑。

 

では、次回まずはピリオダイゼーションについて詳しく書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。