イングランド&ポルトガル・サッカーコーチブログ

イングランドとポルトガルのプロサッカークラブでのコーチ経験や、大学で学んだ内容を発信していこうと思います。

結局、戦術的ピリオダイゼーションとは何なのか?

結局、戦術的ピリオダイゼーションとは何なのか?

 

 

初めからはっきりと言ってしまいますと、日本で戦術的ピリオダイゼーションについてネットで調べると、そもそものスポーツにおけるフィジカルトレーニングの基本であるピリオダイゼーションを知らずに説明しているものが多すぎます。まずピリオダイゼーションを理解しなければ、戦術的ピリオダイゼーションも理解できません。また、このピリオダイゼーション、サッカーのピリオダイゼーション(レイモンド氏などが提唱)、そして戦術的ピリオダイゼーションをごちゃごちゃにしてしまっている説明が多すぎます。まずはこの3つは全くの別物として考えてください。たまに、「レイモンド氏の提唱するサッカーのピリオダイゼーション、通称PTPは・・・)」などという説明を見かけますが、これはまったくの間違いです。

 

なので、このブログではまずはこのごちゃごちゃになってしまっている概念を分別・整理したいと思います。

・ピリオダイゼーション

・サッカーのピリオダイゼーション

・戦術的ピリオダイゼーション(これを村松氏が独自にPTP(Periodisation Tactic Philosophy)と略称を命名し、それが広まっているようです。しかし、後に詳しく書きますが私はこの呼称には賛同しかねます。)

 

 

ここからは、この三項目についての紹介を簡単にしていきます。

 

ピリオダイゼーション

まず、サッカーのピリオダイゼーションや戦術的ピリオダイゼーションを理解するには、いかなるスポーツにおいてもフィジカルトレーニングの基礎の基礎、常識中の常識である、ピリオダイゼーションそのものを理解しなければなりません。日本語でググると、この基本中の基本であるピリオダイゼーションを理解せずにサッカーのピリオダイゼーションや戦術的ピリオダイゼーションを語っている人が多すぎるように感じます。このピリオダイゼーションは現代スポーツのフィジカルトレーニングにおけるとても大事な大事な基本であり、自分がイギリスの大学で何を一番学んだかと言われれば、このピリオダイゼーションです。本当に3年間みっちり、これをしつこいほどに叩き込まれました。それぐらい大事な現代のスポーツのフィジカルトレーニングにおける基本となる概念なのです。

 

サッカーのピリオダイゼーション

上記のピリオダイゼーションを理解したうえで、さらにそのピリオダイゼーションをサッカーというスポーツに適応させたものを、サッカーのピリオダイゼーションと呼びます。「サッカー ピリオダイゼーション」などで検索すると日本ではレイモンド氏の名がよく出てきますが、彼の理論が全て正しいわけではなく、国やチーム、人によって色々なアプローチがあります。僕がイギリスの大学でサッカーのピリオダイゼーションを教わった教授は、一人はスペイン人でバレンシアFCなどでフィジカルコーチをしていた人、もう一人はイギリス人で元マンチェスターシティーやウエストハムのフィジカルコーチだった人なのですが、それぞれレイモンド氏とはまた違うアプローチや方法論を持っていました。「サッカーのピリオダイゼーション」という大きなくくりの中で、サッカーというスポーツをどう捉えるか、サッカーのコンディショニングの目的は何なのか、各チーム各選手がトレーニングにおいて何に重きを置くか、それによって違ってくるのだと思います。

 

戦術的ピリオダイゼーション

まず最初にはっきりさせておきたいのですが、戦術的ピリオダイゼーションは正義ではありません。トレーニング理論の絶対的正解でもありません。時折、まるで戦術的ピリオダイゼーションこそが最先端かつ正しい考えだというような記事を見かけますが、そもそも、絶対的に正しいトレーニング方法などありませんし、積極的に戦術的ピリオダイゼーションを取り入れているFCポルトのコーチでさえ、あくまでもトレーニングへの一つの考え方に過ぎないという言い方をしていました。(ただし、提唱者であるビトール・フラデは戦術的ピリオダイゼーションが絶対的に正しいトレーニング理論だと思っています笑、本人がそう言っていました笑)。

日本では戦術的ピリオダイゼーションについては様々な摩訶不思議な記述が飛び交っていますが、もし僕がなるべくシンプルかつ分かりやすく定義するならば、「上記のサッカーのピリオダイゼーションにさらに各選手や各チームのプレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素を組み込んだトレーニングメソッド」とします。よく、「戦術に特化したピリオダイゼーション」などと書かれているものがありますが、はっきり言わせてもらえばこれは間違いです。そして、PTPと呼ばれていることがありますが、これも間違いだと思います。このPTPという名称は村松氏が自身のブログで独自にPTP (Periodisation Tactic Philosophy)と呼び始めたのが始まりであり(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/naoto/article/285)、発祥のポルトガルでもどこでも、日本以外でPTPという名称は通じません。なぜなら、戦術的ピリオダイゼーションは “Periodização Tática” であり、Filosofia(哲学)という言葉は全く出てこないからです。そして、仮に「哲学」という言葉を加えたとしても、英語ならば ‘Tactical Periodisation Philosophy’ (TPP)、 ポルトガルなら ’Filosofia da Periodização Tática’ (FPT) となるはずですので、PTPという略にはなりません。

また、先程の定義で「トレーニングメソッド」としたのは、自分は戦術的ピリオダイゼーションは哲学というよりもむしろメソッド、サッカーへの考え方・観方のようなものに近いと思っているからです。周りの大学の同級生(FCポルトやブラガのコーチ)やチームの監督と話をしても、哲学などという大それたものというより、むしろ「トレーニングへの考え方の一つだよね」という印象を受けます。ですので、「トレーニングメソッド」としてみました。

 

 

ここまで

・ピリオダイゼーション

・サッカーのピリオダイゼーション

・戦術的ピリオダイゼーション

と分けて簡単に紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。

 

今後、ブログでこの3つを一つずつ詳しく、シンプルに理解しやすいように書いていきたいと思います。なるべく分かりやすく簡潔にまとめられるよう努めますが、できるか多少不安です笑。そもそもブログ一本でまとめられるようなものならイギリスの大学で3年間もみっちり刷り込まれる必要も、ポルト大学に来る必要も、ビトール・フラデ教授に個人的にアポを取って何度も話し合ったり質問しまくったりする必要もないわけです笑。

 

では、次回まずはピリオダイゼーションについて詳しく書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。